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脳科学者・茂木健一郎・From Yakushima with Love

日本が世界に誇る九州の世界遺産・屋久島。海、山、川、そのどれもが訪れる旅人を楽しませています。私たちは大自然の島に暮らす人々や文化にスポットを当て、動画でお届けしています。

日本の屋久島がユネスコの世界自然遺産に登録されてから、もうすぐ四半世紀を迎えようとしている。国際的な知名度も高まり、多くの外国人旅行者が訪れるようになりました。しかし実際のところ、彼らが感じている屋久島の魅力とはどんなところにあるのでしょうか。脳科学者の茂木健一郎さんにレポーター役をお願いして、島を巡りながらインタビュー取材しました。

「屋久島は海外から来るのは遠いです。島の天気はものすごく変わりやすいです。言語の壁も大変です。ですが、探検をするのに屋久島ほど優れた場所は他に思いつきません」(公認自然ガイド ジェニファー・ルーさん)

「日本の屋久島はすごく緑があって、空気がおいしい」(ワークアウェイヤー ルーカス・ゲーリングさん)

「日本の屋久島は隠れた宝物です。素晴らしい自然やとても気さくな本当の日本人に会いたければ、外国の観光者は絶対に屋久島を訪れるべきです」(英語教師 ジョン・ドーティーさん)

脳科学者・茂木健一郎 From Yakushima with Love
出演:茂木健一郎、ジェニファー・ルー、ルーカス・ゲーリング、ジョン・ドーティー
ナレーター:Azumi
協力:PANORAMA Restaurant屋久島おおぞら高等学校
制作:屋久島ハートTV


屋久島って?

屋久島は、九州・鹿児島の南西およそ60kmに位置する円形の島です。

周囲は約130キロメートル。島の中央部には標高2000メートル近い山々が連なることから、「洋上のアルプス」とも呼ばれています。この独特な地形が、亜熱帯から亜寒帯までの気候と世界でも有数の降水量を屋久島にもたらしています。

1993年、屋久島は自然の美しさと、多様な生態系の希少性が認められ、日本で最もはやくユネスコの「世界自然遺産」に登録されました。

 

脳科学者・茂木健一郎さん

屋久島の玄関口「屋久島空港」です。大勢の旅行者のなかに、脳科学者の茂木健一郎さんの姿がありました。

Mogi:屋久島は自然が素晴らしいということはもちろんなんですけれどもそのなかで暮らす人々。これが本当に魅力的なので、今回もぜひ 屋久島の自然はもちろんなんですけれども、さまざま人との出会いを楽しみたいと思います。

 

旅の始まりは「千尋の滝」から

屋久島の旅の始まりです!

茂木健一郎さんがまず向かったのは、島の南に位置する「千尋(せんぴろ)の滝」。巨大な花崗岩の岩盤から流れ落ちる滝は、屋久島の名所のひとつです。

 

Mogi:千尋(せんぴろ)の滝に来たんですけど、なんかこの辺にね アメリカ人なんだけど、この屋久島で自然ガイドさんをされている方がいらっしゃるということで探しに来ました。

Mogi:こんにちは。

Jennifer:こんにちは。

Mogi:どちらかがガイドさんでしょうか?

Jennifer:はい。何かご用ですか?

Mogi:あっ、あなたがガイドさんですか?

 

屋久島のエコツアーガイド ジェニファー・ルーさん

屋久島でエコツアーガイドをしているジェニファー・ルーさんです。ジェニファーさんはアメリカのマサチューセッツ工科大学を卒業後、日本にやってきました。4年前から山岳エコツアーのガイドとして、屋久島の魅力を内外に発信しています。

 

Mogi:今お話しされていたことの要点を教えてもらえませんか?

Jennifer:ここは、島の大半の構成要素である花崗岩が一番よく見える場所の一つというお話をしていました。はっきりむき出しになっています。多くの人は屋久島が火山だと勘違いしています。しかし実際には噴火しません。屋久島は火山ではなく大きな花崗岩の塊で、今も隆起しています。

Mogi:えっ!今も隆起しているんですか?

Jennifer:はい。隆起しています。一年に一ミリ以下ですが。

Mogi:すごいですね!

 

屋久島 移住あるある

Mogi:観光客は休暇を楽しみに屋久島に来ますが、ジェニファーさんは基本的にずっとここにいらっしゃいますよね。飽きたりしませんか?

Jennifer:まだ飽きていません。時間がなくて行けていないところがたくさんあります。新しいレストランや新しいことが次々と出てきますし。まだ探検できていない道もあります。

Mogi:そうですか。4年経った今もですか…

Jennifer:4年経ってもまだまだたくさんあります。ここに初めて来た時は、あまりプランはなかったんですが、今は、一度の人生では終えられないぐらいたくさんあります。

Mogi:本の次はインターネット、その次は映画とかですかね。

Jennifer:どうなるか楽しみですね。屋久島に住むとよくあることですが、屋久島に来る前には「これをしたい」と思っていても、来ると「いや、何もしないのもいいな」となるんです。

Mogi:そこが一番いいところですよね。

Jennifer:素晴らしいです。

Mogi:カメラに向かって何かコメントをお願いできますか?このムービーは世界中の人とこの島の経験を共有するものです。

 

ジェニファーさん的、屋久島のいいところ

Jennifer:世界中からお越しの皆さん、日本は島国なので来るのは難しいですよね。さらにここへ来るにはそこからもっと小さな屋久島という島に旅をしないといけないです。しかも天気はものすごく変わりやすいです。言語の壁も大変です。ですが、探検をするのに最適な場所は屋久島の他には思いつきません。自然も文化も。あなた自身についても新たな発見がありますよ。ここで、新しい世界に目を向けてみてください。本当にわくわくしますよ。そのわくわくをみなさんと共有したいですね。

Mogi:いいですね!今週のBBC 2「Wonderful Nature(素晴らしい自然)」でした(冗談で)。では、よい週末をお過ごしください。

 

次の目的地は自然農園

屋久島の旅をつづける茂木さん。次にやってきたのは、収穫の時期を迎えた農園です。

Mogi:実はこの辺りでドイツから来た若者が タンカンの収穫をしているという情報をキャッチしまして。本当かなと思って、確かめに来ました。

タンカン畑はね… あ、いる います! いました。うわぁ 見てください! 収穫していますね。

 

Mogi:こんにちは。ケンです。

Lucas:こんにちは。ルーカスです。

Mogi:初めまして。ドイツの方ですか?

Lucas:はい。ドイツ人です。

Mogi:ドイツの方がタンカンを収穫しているのはどうしてですか?

Lucas:僕はWorkawayを使って、ここに来ました。ウェブサイトで募集していたので、参加させてもらえないか連絡しました。その時日本で旅をしていたので、屋久島を訪ねるのもいいなと思いました。

 

Mogi:今まで収穫ってしたことありましたか?

Lucas:いえ。ここにいるおばさんたちが教えてくれました。

Mogi:彼女たちが、あなたの先生ということですね?

Lucas:そうです。私の先生です。

Mogi:ちょっと聞いてみましょうか。ルーカスさんの印象は?

Ladies:とてもかわいいですね

Mogi:かわいい!

 

Mogi:ルーカスさんはタンカン、食べたことありますか?

Lucas:はい。

Mogi:どうでしたか?

Lucas:とても「おいしい」!

 

ドイツ人Workawayer ルーカス・ゲーリングさん

旅先でボランティアをすることで、宿と食事を提供してもらえるWorkway(ワークアウェイ)。ルーカス・ゲーリングさんはそのWorkwayを利用して屋久島にやって来ました。

ドイツでは小学校の先生をしているルーカスさん。ここでは、タンカン農園の仕事を手伝いながら島の暮らしを楽しんでいます。

 

Mogi:この島での滞在を楽しんでいますか?

Lucas:はい、とてもいいですね。自然は豊かで素晴らしいし、緑で、ハゼの木もある。

 

Mogi:どうして屋久島に行きたいと思いましたか?

Lucas:Workawayを使いながら、日本を旅行していたんです。そのサイトで、屋久島のことを見つけました。

 

Mogi:第一印象はどうでしたか?

Lucas:移動の時間が長かったので、すごく疲れました。ナイトフェリーで来ました。

Mogi:あぁ、ナイトフェリーに乗ったんですね!

Lucas:そうなんです。ナイトフェリーは結構揺れて。でも着くと、「すごく緑があって空気がおいしいな~」と思いました。

 

Mogi:ここの食べ物はどうですか?

Lucas:かなりおいしいです。飛び魚が好きです。

Mogi:飛び魚が好きなんですね?

Lucas:はい。

 

Workawayってどんな感じ?

Mogi:ここだけじゃなくて、日本の他のところでもWorkawayの経験があるんですよね。

Lucas:そうです。

Mogi:Workawayを利用してみてどうですか?

Lucas:とてもいいと思います。一日に5時間くらいなのでそんなに大変じゃないですよ。5時間働いても、島を観光する時間は十分あります。

Mogi:このような休暇を他の人にも勧めますか?

Lucas:もちろん、おすすめです。

 

Mogi:それでは、世界中のみなさんにコメントをどうぞ。ここに来たいと思ってもらえるように、屋久島のいいところについてコメントしてくださいね(笑)

 

ルーカスさん的、屋久島のいいところ

Lucas:世界のみなさん、ぜひ屋久島に来てください。屋久島は素晴らしいところです。

 

Mogi:それだけ?

Lucas:はい、以上です。すでにたくさんお話してしまいました。

Mogi:きっと、とてもドイツ的な言い方で、「世界で一番の場所」ということですね。お話できてよかったです。タンカンの収穫がんばってくださいね。

Lucas:はい。もちろん。

Mogi:ありがとうございました。

Lucas:お話できてよかったです。

 

 

屋久島の多様性

黒潮が流れ込む屋久島は、1年を通じて寒暖の差が少なく、穏やかな気候です。しかし標高の高い山々が連なる山間部は冬には雪が積もります。

亜熱帯の植物から 亜寒帯の植物までさまざまな植物を観察することのできる屋久島は世界でも希少な生物多様性の島です。

翌日、茂木さんが向かったのは、島の西側にある「西部林道」。ヤクシカやヤクシマザルが姿をみせる原生林が残っている場所です。

この日、茂木さんは「屋久島おおぞら高校」の生徒たちと一緒に、島内の自然を探索するスクーリングに参加することに。

 

Student:ジョンさんだ!

Mogi:あっ!ジョンさん!こんにちは!

 

教育活動に取り組む ジョン・ドーティさん

そこへ現れたのは、「屋久島おおぞら高校」でホリスティック教育に携わっているジョン・ドーティさんです。ジョンさんと茂木さんは以前からの友人。茂木さんが「屋久島おおぞら高校」の校歌づくりに参加したことがきっかけで、ふたりは若者の教育について語り合う仲になりました。

 

Mogi:屋久島には何回くらい来ていますか?

John:7、8回くらいですね。

Mogi:それはかなり多いですね。難しい質問かもしれないけど、英語教育と自然教育を結びつける創造的な方法は何かありますか?

John: どんな言語も、核となる目的はコミュニケーションをとることだと思います。その“コミュニケーション”がキーワードになると思います。お互いにコミュニケーションをとることだけではなくて、自然ともコミュニケーションをとるということですね。その上で重要なことは聞くことです。お互いに話を聞くという考えを、自然に対しても応用すると、英語だけでなく、言語と自然教育をつなげることができます。

 

屋久島の人々

Mogi:屋久島の人はどんな人だと思いますか?

John:農家の方々と、土地のものを食べて暮らす人々の混ざり合いがおもしろいですね。職人のコミュニティがあって、素晴らしいアーティストやクリエイティブな人がここにはたくさんいます。この場所は芸術的にも素晴らしいです。現実的な農家コミュニティと、とてもおしゃれな芸術コミュニティの対比がとても興味深いです。それでいて、この島の人はどの人もみんなとてもフレンドリーで優しいです。

Mogi:ということは、ジョンさんはいつか絶対に屋久島に戻ってくるということですか?

John:はい、その通りです。

Mogi:それでは、世界のみなさんへコメントをどうぞ。

 

ジョンさん的、屋久島のいいところ

John:屋久島は「隠れた宝物」です。大阪や京都でいろいろ見るのもいいですが、素晴らしい自然やとても気さくな本当の日本人に会いたければ、絶対に屋久島を訪れるべきです。すごくおすすめです。

 

Mogi:興味深い意見をありがとうございました。

John:ありがとうございました。

 

それぞれの屋久島

“太古の森”に導かれ、年間を通じて多くの旅行者が訪れる世界遺産の島、「屋久島」。

ジェニファーさんのように エコツアーガイドとして島で暮らすようになった人もいました。

ドイツからWorkawayを利用して、屋久島にやってきたルーカスさん。島の人々と交流しながら、新しい旅のスタイルを楽しんでいます。

屋久島は“隠れた宝物”というジョンさん。島の豊かな自然を、若者の教育に活かそうとしています。

 

それぞれの人が見つけた、それぞれの屋久島の魅力。

さて、あなたはこの島でどんな「宝物」を見つけるでしょう。

 

屋久島で!お会いしましょう!